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2024.07.11
yoshihiko

2407 どうなる、大工不足

今年も梅雨明けがはっきりせず、7月初旬には猛暑日となるような日もあり、梅雨の前に夏が来たような天候がここ2、3年続いていますが、皆様にはお元気のことと拝察いたします。

さて、本欄でも去年の4月に「減り続ける大工」、5月には 「大工不足 再考」と題して、大工不足に悩む住宅業界の窮状をお話しましたが、今月2日の NHK の″クローズアップ現代 ″という番組でも「大工不足で家が建たない?修理できない!?相次ぐ住宅トラブル」と題して大工不足によって深刻化する住宅トラブルの問題を取り上げていました。
私たちにとっては既に自分ごとの問題ですが 、それが NHKのそれもゴールデンタイムで放送されるということに驚きを感じた次第です。どうにも止まらない 大工の減少、(1980年代の93.7万人をピークに2020年には29.8万人と30万人を切っています。)それも若い大工の減少が顕著です。

働き方改革で今年の4月からは住宅・建設業にも残業上限規制が適用されているので、大工不足、人手不足に一層拍車がかかるでしょう。

近い将来どころではなく 、仕事があっても大工がいなくて仕事を受けられない、ということがもはや 現実化しています 。このままで行けば 今から10年後の2030年には15万人、20年後の2045年には10万人に減少し、日本のものづくりが立ち行かなくなってしまう可能性があります。

何故このようなことになってしまったのか ?!

思うに日本社会の体質によるものではないかと。
職人不足が顕著なのは大工だけではなく、他にも左官工とかタイル工 とか 技能を必要とし身体も使うといった職種の職人さんが減り続けています。

大工はじめ職人さんは ものづくりの最前線に立つ人たちですが、その人達に対して日本社会はあまりにも″ぞんざい″であったような気がします。
20年ほど前ですが 、北欧を旅行した時にある市庁舎の見学をする機会を得ました。中を案内されて見物をしていると、白い石膏でできた人の胸像が何体か置かれているスペースがありました。 案内をしてくれた人に「この胸像はどなたのですか?」 とお尋ねしたところ、私はこれは 歴代の市長の胸像であるという答えが帰ってくるのではないかと思っていましたが、なんとそうではなくて、この市庁舎を作ったタイル職人であり、他のものも職人の胸像であるということを聞いて驚愕しました 。

職人を見下すように扱う日本社会の慣習が招いた結果ではないかと思う次第です。

建物作りに携わる職人の中でも特に大工は要と言っていい存在です 。若い人が大工になりたいと思えるような環境づくりが大事です 。そのためには介護職の最低賃金を決めたように、身につけた技能によってランク分けし、その中で最低賃金を保証する。
社員として雇用し、社会保険や福利厚生を充実させる。等など。

今からでも遅くはありません。
早急に国政の場で、そのような政策を打ち出してもらうことを期待します。

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