木造建築の普及 -後編
春の気配が感じられ、桜の開花が待ち望まれますが、暖かくなる気候とは裏腹に、世界情勢は混乱の度を増しています。
平穏な世の中のありがたみを感じるこの頃ですが、皆様お元気のことと拝察いたします。
さて、今号の本欄では先月号に続き、「木造建築の普及」の後編をお届けします。
木は燃えるという特性故に、長らく木造といえば住宅かアパート位であったのが前編でも記しましたように、2000年の建築基準法改正により、上記以外の建物にも木造化の道が開け、以来、直近の事例を見ても、
・昨秋、札幌で11階建の木造ハイブリッドホテル(注)参照)がオープン
・横浜では11階建ての純木造事務所ビルが来月完成
・仙台で10階建ての木造ハイブリッド事務所ビルの計画
・千葉では地元のTハウジングさんが15階建ての複合ビルを今年着工予定
・大手ビルダーのAホームは1階店舗、2階事務所といった5階建ての木造商業ビルや8階建ての純木造社屋を特殊な部材や構法を使わず、一般の住宅で使われてきた、
従来の軸組工法の延長でつくる計画を発表
など、完成済或いは計画中のものが増加し、また用途も規模も多岐にわたり、中高層の木造建造物は目新しいものではなくなってきています。
特に私が注目したいのは、8階建ての純木造社屋を従来の木造住宅で使われる軸組工法の延長で作るというものです。
これまでは大きな断面の柱や梁などは集成材でつくり、接合部には特殊な金物などが必要とされてきましたが、一般に流通している住宅用の部材で中高層の建物が出来るのであれば、画期的なことであり、木造建築普及へ向けての大きな弾みとなるでしょう。
大手住宅会社のS林業さんなどは超高層ビルを木造でつくるという計画まで進めているようです。
また、木造のイメージの刷新につながる事例として、賃貸住宅業界では昨年12月、大手仲介業者の検索サイトで、これまでは自動的にアパートとして登録されていた木造賃貸住宅について、規模や階数など一定の基準を満たす物件は、木造でもアパートではなく「マンション」として登録することを決めたことなど、耐震、耐火面で進化する木造住宅の社会的地位向上を促す動きとしても注目すべきことだと思います。
住宅・不動産業界ともに、木造住宅から木造建築へと時代は変わりはじめています。
これまで鉄筋コンクリート造や鉄骨造だけであった市場に、新たに木造が選択肢として加わることは、CO2削減のみならずコンクリートジャングルと言われた都会の風景を潤いのあるものに変える契機となるでしょう。
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