住宅の耐水害性への取組その2
前回に続き今回は、最新の耐水害住宅の取組をご紹介します。
前回では「①家屋に浸水させない。」為の対策を記しました。今号では「②家屋内に浸水しても水を抜き
易く、復旧工事を最小限に押さえる。」為の各種対策です。
②が想定しているのは1階の床から1m程の床上浸水であり、浸水した部分の修復作業をしやすくする
工夫をこらしているのが特徴です。
まずは基礎からです。
溜まった水を抜きやすくする為に、ベタ基礎というコンクリートの版に水勾配を付け、釜場と呼ばれる
集水ピット(30cm角で深さ20cm程度)を数ヶ所設けておきます。
水害後、そこに排水ポンプを設置し基礎に溜まった水を排出します。
基礎に水が溜まるのは比較的によくあるケースで、漏水や結露によっても溜まる時があります。
これは通常の住宅でもやっておきたい取組ですね。
次は室内を見てみましょう。
床上浸水で問題なのは、一般的に使われている壁の中や床下のグラスウール断熱材や石膏ボード、床の 複合フローリングといった新建材が濡れてしまうことです。
水に弱い新建材は一旦濡れてしまうと再利用が出来ず、廃棄することになります。
そこで想定浸水深より上に木製の見切材を入れ、そこで張り分けておけば、濡れた部分だけの張替えで
済み、手間も材料も節約出来ます。
床材もムク材を使えば洗浄後表面を削り直し、再利用が出来ます。
キッチンやユニットバス等の設備も泥水での汚れを洗浄出来るようにしたホーロー製やステンレス製の
ものを使用します。設備機器は金額も張るので是非、再利用したいですね。
最後にご紹介するのは床上浸水が1階の天井付近まで達しても、建物の外壁の中まで洗えるように
した家です。
これまでなら解体、建直しになるところですが、天井と壁の取合い部分に設けた隙間からホースを差込み外壁内部を洗うことが出来ます。
壁の下地材の組み方を水が流れ落ちるようにし、断熱材は耐水性のものを使用、濡れた仕上げ材や石膏
ボードは廃棄しますが、床はムク材を使い廃棄ロスを極力少なくします。
洗浄後は乾燥機で室内や基礎を素早く乾燥させ、カビなどの発生を防ぎます。
建替えに比べたら手間と費用は雲泥の差ですね。
いろいろご紹介してきましたが、普通に家を建てた場合に比べて耐水害住宅のコストはそれなりに
掛かりますが、対策を講じていれば水害が起こり浸水してしまった時に「やっておいて良かった」と
思えるのではないでしょうか。
そして、浸水被害は一度きりとは限りません。
自然災害に対して耐震性だけではなく、リスクがあれば耐水害性も備えて置くべき時代です。
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